研究実績の概要 |
Cucumis hystrixとメロン系統MR-1との種間交雑を進め、交雑不親和性の特徴を明らかにした。本組み合わせにおいては、花粉親としてC. hystrixを用いた際には花粉管伸長はほとんど見られないが、MR-1を用いた際には自殖と同程度まで伸長すること、またその後の胚発達についても、着果率が種間交雑を自殖で同程度でありさらに、充実種子が得られるなどこれまでのCucumis属種間交雑では見られなかった知見が得られた。 これらの種子については自殖種子であったような発芽が見られなかったため、雑種胚の崩壊が他の交雑組み合わせほどではないもののある程度の時期に起きていることが示唆された。そこで、生育段階別に複数の培養条件を試みた。しかしながら、本培養においては変化等は見られず、最適培地の特定や再生には至らなかった。 培養に適した段階まで胚発達を促進させるため、新たな方法として果実加温法の検討を行った。受粉直後の雌花にヒーターを取り付け、加温により終日28~35℃程度に保つことで、胚珠の発達が自殖以上に促進できることを明らかにした。さらに胚発達も3日程度促進可能であり、これまで以上に培養により再生できる可能性が高まった。 得られた種間雑種について雑種性検定を可能にするため、メロンおよびキュウリSSR マーカーについてC. hystrix とメロンでの解析を行い、多くのマーカーで増幅が見られ、アガロースゲル電気泳動で多型が得られるマーカーを特定した。これにより今後の雑種性検定が可能となった。 C. hystrixについては遺伝資源としての評価も行い、メロン系統内では見いだされていなかったメロンつる割病レース1,2yに対して高度抵抗性を有することを明らかにした。
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