• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実績報告書

エボラウイルスの転写・複製制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26892028
研究機関沖縄科学技術大学院大学

研究代表者

杉田 征彦(杉田征彦)  沖縄科学技術大学院大学, その他の研究科, 研究員 (00734469)

研究期間 (年度) 2014-08-29 – 2016-03-31
キーワードウイルス学 / エボラウイルス / 電子顕微鏡
研究実績の概要

1. エボラウイルス・ヌクレオキャプシド様構造 (NC様構造) の精製:ウイルス様粒子およびNC様構造を人工合成する実験系を用いて、NC様構造を脂質膜内に取り込んだウイルス様粒子を回収した。CsCl密度勾配遠心法を用いてNC様構造を精製した。実験的操作中に、NC様構造が構造変化してしまうアーティファクトが生じたため、まずは化学固定したNC様構造を観察試料として用いることにした。同時に、化学固定を行わずに本来のNC様構造を保ったまま精製する方法について検討中である。
2. 氷包埋法:精製されたNC様構造をネイティヴな構造を維持したまま観察するため、液化エタンを用いてサンプルを急速凍結した。専用機器 (Gatan社Cp3およびFEI社Vitrobot) を使用することで、高い再現性で観察に適した氷包埋試料を作製する条件が決定出来た。
3. NC様構造の画像取得:氷包埋したNC様構造をクライオ電子顕微鏡 (Titan Krios, FEI社) で観察し、電子直接検出器 (FalconIIカメラ, FEI社) で画像を取得した。また、本研究では更に多数の画像を取得する必要があるため、ソフトウェアLeginonを用いた顕微鏡の自動制御・撮影システムを導入し、安定的に効率よく画像データを取得することが可能になった。また、 クライオ電子線トモグラフィー法に関しても、Leginonによる自動撮影およびソフトウェアIMODを用いた三次元画像構築が出来る研究環境を整備した。
4. 取得した画像の解析:得られたNC様構造のクライオ電子顕微鏡像を用いて、画像の螺旋対称性をもとに三次元構造を再構成する(螺旋再構成)のプログラムであるIHRSR packageを用いて、高分解能のNC様構造の決定を試みている。
5. 凍結超薄切片法:2014年8月にベルン大学で開催されたトレーニングプログラム “the 4th UniBe Practical Course on Cryo-Electron Microscopy of Vitreous Sections” に採択され、凍結超薄切片法の技術を修得した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画時にも想定していた通り、研究サンプルの精製法の最適化が必要であることが分かった。また、一部の研究機器の導入にも遅れが生じたため、サンプルの精製に時間を要している。しかし、精製法の検討を行うと同時に、現状のサンプルを用いて、本年度に予定していた解析や、翌年度の研究計画・方法も一部実行することができたため、当初予定してた本研究の実験解析の流れは概ね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

引き続きサンプル精製法の検討を行いながら、翌年度予定している研究計画を実施し、高分解能のNC様構造の決定を目指す。
1. エボラウイルス様粒子内に取り込まれているヌクレオキャプシドの解析
NC様構造を取り込んだエボラウイルス様粒子を作製・精製し、氷包埋した後にクライオ透過型電子顕微鏡法で観察する。
※困難を伴うと予想される点と対処法:本試料はヌクレオキャプシドの周囲にマトリクスたんぱく質および脂質膜が存在するため、それらがノイズとなって分解能が低下し、研究目的が達成できない可能性がある。その場合、以下の2項目を実施し、分解能の向上を実現することを予定している。(1) 凍結超薄切片法:急速凍結したウイルス粒子を専用のウルトラミクロトームを用いて薄切し、ヌクレオキャプシド上下のマトリクスおよび脂質膜を除去した上で、クライオ透過型電子顕微鏡解析法でヌクレオキャプシドの画像を取得する。申請者は2014年8月にベルン大学 (スイス) で開催されたトレーニングプログラム “the 4th UniBe Practical Course on Cryo-Electron Microscopy of Vitreous Sections” に参加し、凍結超薄切片法の技術を修得した。凍結超薄切片法用のウルトラミクロトームは申請者の研究従事機関に導入されている。(2) クライオ電子線トモグラフィー法:サンプルを少しずつ傾斜させながら連続的に多数の透過像を取得し、それをコンピュータプログラム Inspect 3D (FEI社) あるいはIMOD (オープンソースソフトウェア) を用いて一つの画像データに再構築する。これらにより、NC様構造、脂質膜およびマトリクスなどの構造物の重なりによる分解能の低下を抑えて高分解能の画像を取得することが可能になると考えられる。
2. 螺旋再構成法を用いてNC様構造の分子構造決定を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Influenza Virus-Host Interactome Screen as a Platform for Antiviral Drug Development2014

    • 著者名/発表者名
      Watanabe T, Kawakami E, Shoemaker JE, Lopes TJS, Matsuoka Y, Tomita Y, Kozuka-Hata H, Gorai T, Kuwahara T, Takeda E, Nagata A, Takano R, Kiso M, Yamashita M, Sakai-Tagawa Y, Katsura H, Nonaka N, Fujii H, Fujii K, Sugita Y, Noda T, Goto H, Fukuyama S, Watanabe S, Neumann G, Oyama M, Kitano H, Kawaoka Y
    • 雑誌名

      Cell Host & Microbe

      巻: 16(6) ページ: 795-805

    • DOI

      10.1016/j.chom.2014.11.002

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Cryo-electron microscopic analysis of Ebola viral nucleocapcid2015

    • 著者名/発表者名
      Yukihiko Sugita
    • 学会等名
      4th Negative Strand Virus-Japan Symposium
    • 発表場所
      沖縄ラグナガーデンホテル
    • 年月日
      2015-01-19 – 2015-01-21

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi