研究課題
本研究は、 エボラウイルスのヌクレオキャプシド (NC) 構造を高分解能で決定し、NCによるウイルス遺伝子発現制御機構の分子基盤を解明することを目的とする 。哺乳類細胞内でNCの構成蛋白質であるNP, VP24, VP35を 強制発現し、 NC様構造を精製した。 精製条件の検討を行う過程で、NCの中核を形成する螺旋状のNP-RNA複合体 (NP helix) が溶液中で大きく構造変化することが判った。そこで 、NPのC末端領域を欠損した NP変異体を用いることで、より構造が安定な変異型NP helix を構築し、試料として用いることにした 。つまり、まず NCの中核構造 であるNP helixの高分解能構造を決定し、 順次、野生型のNP helix、さらに外側に結合するVP24およびVP35を含んだNC 複合体の構造モデルを構築していく実験手順を採ることとした。クライオ電子顕微鏡およびコンピュータ・クラスターによる変異型NP helixの三次元構造解析の結果、 4.7オングストロームの高分解能でその構造を決定した。これにより、NC内におけるRNAの空間的配置を同定することができた。また、NC内におけるRNA-NPおよびNP-NP結合領域を明らかにしつつある。本研究成果は、2016年7月に開催される国際学会 Microscopy & Microanalysis 2016 Meeting の学術論文 (タイトル: Structure of the Ebola virus Nucleocapsid Core by Single Particle Cryo-Electron Microscopy) として掲載されることが決定した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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