研究課題/領域番号 |
26892029
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研究機関 | 公益財団法人岩手生物工学研究センター |
研究代表者 |
田崎 啓介 公益財団法人岩手生物工学研究センター, 園芸資源研究部, 研究員 (80733419)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 植物 / 休眠 / 次世代シーケンサー |
研究実績の概要 |
本研究は、多年生植物のリンドウをモデルに冬芽の自発休眠から他発休眠への移行を制御する因子を明らかにし、休眠調節機構モデルを構築することを目的に推進している。本年度は、リンドウの越冬芽で発現するFTオルソログとの相互作用が予想された2種類の機能未知のタンパク質について解析を行った。これらタンパク質はBiFC法、共免疫沈殿法、および酵母ツーハイブリッド法によるタンパク質間相互作用解析を行った。さらに、越冬芽で発現する遺伝子の網羅的な情報収集と、休眠期における遺伝子発現変動を明らかにするために次世代シークエンサーを用いたRNA-seq解析を実施した。平成26年秋期に越冬芽を形成した露地栽培のリンドウを用いて、自発休眠から他発休眠への移行期を含む経時的なサンプリングを行い、これらサンプルから抽出したRNAを用いてMiseqおよびNEXTseqによるシークエンスと、得られたデータの解析を行った。リンドウはリファレンスゲノム情報がないことから、de novo assemblyによりリファレンスを作成した。得られたcontigを過去にクローニングされた既知遺伝子配列と照らし合わせたところ、ほぼ同一の配列を有していた。また、それらcontigによるRNA-seq解析では、リアルタイムPCRによる発現解析と概ね一致する良好な結果が得られた。今後は、これら情報を用いて休眠制御を行う遺伝子の探索を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度にサンプリングしたリンドウの越冬芽の次世代シークエンサーを用いた解析において、リファンレンスゲノム情報がないリンドウにおいてもde novo assemblyにより精度の高い発現プロファイルを獲得できることがわかった。この結果は、休眠期のEST情報を得ただけでなく、FTを介した休眠調節因子を探索するための強力なツールとしての活用が期待できる。現在は、得られた情報を用いてバイオインフォマティクスによる解析を進めている。この解析結果をもとに、休眠制御への関連が予想される遺伝子を選抜し、機能解析に繋げる予定である。このような理由から、本研究課題はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
現在は前年度に行った次世代シークエンサーで得られた休眠期に発現する遺伝子情報について、バイオインフォマティクスにより解析を進めている。この解析で選抜した休眠制御への関与が予想される遺伝子については、リンドウの形質転換体を作成し、表現型、遺伝子、あるいは代謝物などの変動を解析することで機能解析を行い、休眠調節機構のモデル構築を推進する予定である。遺伝子の機能解析は、アグロバクテリウムを利用した形質転換だけでなく、ウイルスベクターを用いた発現制御系、およびin vitro における越冬芽誘導系がすでに確立されているため、これらを活用することで、年に1度しかない休眠の研究を迅速に進める体制が整っている。
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