研究課題/領域番号 |
26892030
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
天野 晶子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (00737398)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | ビタミン / 栄養学 / 蛋白質 / トランスポーター |
研究実績の概要 |
アスコルビン酸は生体に必須の栄養素であり、欠乏により酸化ストレスが増加し、長期の不足で寿命短縮や老化関連疾患を発症する。ヒトで血清中アスコルビン酸は加齢で減少することからも、老化とアスコルビン酸は密接な関係が窺える。しかしながら、アスコルビン酸の体内動態は未だ不明な点が多い。その一因として、排出輸送体が未同定な点が挙げられる。本研究では、未同定のアスコルビン酸を細胞外に排出する輸送体を、アスコルビン酸を体内で合成する・しない種の特性という観点から、マウス肝臓由来細胞およびヒト腸由来細胞を用いて探索することを目的とした。アスコルビン酸は高い抗酸化能を有するため、輸送体解析の進展によって体内アスコルビン酸濃度の制御が可能となれば、栄養学や医学分野への貢献も期待できる。平成26年度はまず、アスコルビン酸の排出が阻害される現象を捉えるため、アスコルビン酸が生合成できないSMP30/GNL KOマウス由来の不死化肝実質細胞株、およびヒト腸管モデル細胞株CACO-2を用いて、培地へ排出されるアスコルビン酸が高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で検出できる濃度まで、最大限アスコルビン酸を細胞に取込ませる培養条件の検討を行った。その結果、SMP30/GNL KOマウス由来不死化肝実質細胞株およびCACO-2それぞれにおいて、細胞内へアスコルビン酸を最大限取込ませる培地濃度および培養時間を決定することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アスコルビン酸の排出が阻害される現象を捉えるため、SMP30/GNL KOマウス由来不死化肝実質細胞株およびCACO-2を用いて、培地へ排出されるアスコルビン酸がHPLCで検出できる濃度まで、最大限アスコルビン酸を細胞に取込ませる培養条件の検討を行った。結果、それぞれの細胞株において、細胞内へアスコルビン酸を最大限取込ませる培地濃度および培養時間を決定した。更に、アスコルビン酸を添加した培地および培養上清では、培養1時間後にはアスコルビン酸濃度が調製時の半分以下になることがわかったことから、一定時間ごとに培地交換を行ったところ、より高い細胞内アスコルビン酸濃度が得られることを明らかにした。以上により研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、CACO2の極性化を行い、細胞外へのアスコルビン酸の排出を阻害または促進する阻害剤を調べる。また、細胞株をプレートで培養し、各種薬剤を培地に添加した際に、細胞内外のアスコルビン酸濃度や様々な遺伝子発現が検出し得る培養条件の検討、およびアスコルビン酸の排出を阻害する物質の探索を行う予定である。
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