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2014 年度 実績報告書

新たな放流用種苗生産技術の開発:凍結保存した生殖細胞から天然トラフグ種苗をつくる

研究課題

研究課題/領域番号 26892033
研究機関独立行政法人水産大学校

研究代表者

吉川 廣幸  独立行政法人水産大学校, その他部局等, 助教 (40733936)

研究期間 (年度) 2014-08-29 – 2016-03-31
キーワードトラフグ / 生殖細胞 / 凍結保存 / 遺伝的多様性 / 種苗放流 / 代理親魚技術 / 発生工学
研究実績の概要

本年度は、生殖細胞の移植実験に供するトラフグ属小型魚種の安定生産体制を整えるため、①トラフグ属小型近縁種に関する人工産卵方法を検討すると共に、これら受精卵に対する三倍体化処理方法について検討した。また、トラフグ生殖細胞の最適凍結保存条件を明らかにするため、②トラフグ属魚類の精巣を用いた凍結保存液の検討を行った。

トラフグ属小型魚種であるクサフグおよびヒガンフグに対し、ヒト胎盤性生殖腺刺激ホルモン(HCG)を注射投与したところ、投与36時間後までに排卵を誘導することが可能であった。また、得られた卵を用いた人工授精試験により、正常孵化仔魚を得られることも確認できた。さらに、不妊三倍体を作出するため、これら受精卵を低温処理したところ、移植試験の宿主として十分量の正常孵化仔魚を得られることも明らかとした。クサフグは水温20℃前後、ヒガンフグは15℃前後で排卵誘発が可能であったことから、初春から初夏までの長期間に渡り、移植試験を行うための小型近縁宿主の生産を可能とすることができる。

生殖細胞の最適凍結保存条件を明らかにするため、クサフグ精巣を種々の組成の凍結保存液中で凍結処理した。凍結処理した精巣を酵素分散した後、トリパンブルー染色による細胞の生死判定を行った結果、DMSO、トレハロースおよびFBS(あるいは卵黄)を含む凍結保存液において高い細胞生残率が得られた。トラフグ精巣においても、前述の凍結保存液により同等な細胞生残率が得られたことから、本凍結保存液によりトラフグ生殖細胞を効率的に凍結保存することが可能になると判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、ホルモン投与による排卵誘発条件を明らかにすることができ、安定的に移植試験に供する宿主仔魚を生産することが可能となった。トラフグ属魚類における生殖細胞の最適凍結保存条件を明らかにできたことにより、次年度は凍結保存されたトラフグ生殖細胞を小型近縁種(クサフグ、ヒガンフグなど)へと移植することにより、凍結保存されたトラフグ生殖細胞(遺伝資源)を個体へと再生可能であるか検証できる。

今後の研究の推進方策

平成26年度に確立した宿主仔魚の安定生産技術および生殖細胞の凍結保存技術に基づき、凍結保存されたトラフグ生殖細胞を、小型近縁種へと移植し、凍結保存生殖細胞の宿主生殖腺内での生着能力および増殖能力を組織・細胞学的に検討する。そして、成熟に達した宿主より得られた子孫についてDNA多型解析を実施し、凍結保存された生殖細胞に由来する天然トラフグ子孫の生産が可能であるか検討する。また、現行の放流用種苗生産方法と比較し、代理親から効率的に遺伝的多様性に富んだ種苗生産が可能か評価する。

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公開日: 2016-06-01  

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