研究課題/領域番号 |
26893003
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岩見 大基 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80581115)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 移植・再生医療 / 糖尿病 / 免疫学 |
研究実績の概要 |
昨年度はラット腎移植モデルを確立させるところまで到達した。 変更点としては、研究に使用予定であったSDラットは近交系ではなく遺伝子多型を持っており、このラットを本研究に使用すると免疫反応つまり拒絶反応の発生頻度およびその程度に個体差が大きく出てしまうことが予想されることから、近縁の近交系であるSDJラットを使用することになった。 SDTラットについては近交系ラットであるのでSDJラットとの間にできるF1ラットも単一の遺伝子的背景を有することになる。そしてSDT/SDJ—F1ラットはドナーとして使用予定のSDTラットの遺伝子を必ず有していてSDTドナー腎を拒絶することはできないので本研究のレシピエントとして最適であると考えている。 ただしもうひとつの問題として、SDJラットの入手後、自家交配でSDJラットとSDTラットのF1ラットを作成する必要もあったことから腎移植手術を行う環境が整うまで予定以上に時間を要した。 現在移植された糖尿病性腎症の腎病変の変化について経過を追っているところであるが、移植後12週ではまだ糖尿病性腎症の可逆性(検尿所見、採血所見、病理学的な糖尿病性腎症の改善)は確認できておらず、可逆性の有無の確認にはさらなる移植後経過時間が必要と考えている。もしくは可逆性がないという可能性もありうる。さらには、SDT/SDJ-F1ラットがまったく正常の耐糖能を有しているかについて検討された報告はないことから今後確認予定である。また、昨年度のアメリカ移植学会(フィラデルフィア)に参加し、本研究に関連する、さらなる情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず腎移植のために使用するSDラットがDNを発症するまでに予定以上に時間がかかったことから腎移植手術を行うまで時間を要した。また、腎移植後も移植腎のDN病変の改善が移植後12週といった比較的早期には起こらないことがわかってきた。今後も引き続き経過を見る必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に行った腎移植ラットのDN病変の可逆性を引き続き確認してゆく。さらに本年度はその組織学的における免疫抑制剤の影響を検討する。免疫抑制剤としてはカルシニューリン阻害薬であるタクロリムス(TAC)とシクロスポリン(CsA)、代謝拮抗薬であるミコフェノール酸(MMF)、mTOR阻害薬であるシロリムス(mTORi)を使用する。群分けとして免疫抑制剤を投与せず移植を行った移植群、免疫抑制剤を投与する移植+CsA群、移植+TAC群、移植+MMF群、移植+mTORi群を設ける。
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