我々は、糖尿病自然発症ラットであるSDTラットをドナー、SDTラットとSDJラットのF1ラットをレシピエントとする、免疫抑制剤不要な腎移植モデルを計4件施行した。4件のうち2件は移植後2週間で残り2件は移植後24週で評価したが明らかな病理所見の改善は認められなかった。逆に、観察期間中明らかな病理所見の悪化も認められなかった。糖尿病性病変の可逆性を十分に評価するためにはさらに長期の観察期間を要すると考えられた。また、臨床においては糖尿病腎症を発症したドナーからの献腎移植の2例を経験しており移植後5年の経過では明らかな悪化も改善も認められないことを病理学的に確認している。
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