本研究は、タンザニアの妊婦健診ではまだ一般的に実施されていない初産婦に対する出産準備教育の導入に向けて、タンザニアの妊婦に求められている内容や方法を明らかにすることを目的とした。現地で調査を実施するに当たり、北海道大学保健科学研究院の倫理審査委員会の承認とタンザニアの医学的研究の倫理委員会であるNational Institute for Medical Research(NIMR)の承認を得た。 タンザニアの倫理審査機関であるNIMRの承認を得るのに多大な時間を要したため、当初予定していた5~6月に調査が実施できなかったが、9月22・23日に首都ダルエスサラーム市内のMnazimoja Health CenterにあるAmtulabwai Clinicにて、20名の妊婦に対しインタビュー調査を行った。インタビューの内容は、①分娩開始兆候、②分娩経過、③取った分娩体位、④分娩介助者との関係性、⑤妊娠期に期待する正常分娩に関する教育内容と方法について尋ねた。インタビューは、現地の研究協力者であるムヒンビリ保健医療大学の助産学教員2名の協力を得て、現地語のスワヒリ語で行った。インタビューはICレコーダーに録音し、帰国後にタンザニア人協力者の助言を得て、スワヒリ語の逐語訳を全て完了した。 分析の結果からは、妊娠期に正常分娩経過に関する知識の提供を期待する声は高かく、特に陣痛や胎児娩出の機序といった正常分娩経過を産婦自身がイメージできるようになりたいとの期待が高かった。教育方法は、視覚教材と参加型授業を望んでいた。 計画では、教材の開発と実施・評価まで想定していたが、時間的に終了することができなかったため、現地の倫理審査の承認期限である平成29年1月26日まで研究を継続する予定である。
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