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2014 年度 実績報告書

ヒト造血幹/前駆細胞における放射線感受性関与遺伝子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 26893007
研究機関弘前大学

研究代表者

辻口 貴清  弘前大学, 保健学研究科, 助手 (90737454)

研究期間 (年度) 2014-08-29 – 2016-03-31
キーワード造血幹細胞 / 放射線感受性 / 遺伝子
研究実績の概要

ヒト造血幹細胞は極めて少数しか生体内に存在しない為、その採取や分離精製及び培養評価には困難が伴う。よってヒト造血幹細胞の放射線感受性に関して不明な点が多くなっている。平成26年度はヒト臍帯血より造血幹/前駆細胞(以下:CD34抗原陽性細胞)を高度に分離精製し、分離したCD34抗原陽性細胞にX線を暴露後早期の段階で網羅的遺伝子解析データを算出することで、放射線感受性を司る遺伝子の探索を行った。以下、本年度行った解析項目を示す。
1)放射線暴露ヒト造血幹/前駆細胞の網羅的遺伝子解析
2)放射線暴露ヒト造血幹/前駆細胞の細胞生物学的、分子生物学的解析
CD34抗原陽性細胞に2GyのX線を暴露し、暴露後6時間の時点の遺伝子解析において、様々な遺伝子の発現量が変化している中でも、特に17個の遺伝子の変動が大きいことがわかった。また、様々な遺伝子のregulatorとしての機能を持ち、がん遺伝子の一つとしても知られているMYC遺伝子の発現量がX線暴露後の造血幹細胞内において、特異的に上昇していることが分かった。
造血幹細胞は、数日から数十日しか機能しない成熟血球を生涯にわたって産生し続ける生体の恒常性維持に必須の細胞である。しかし、高い増殖能と未分化性を持っているため、放射線感受性が高く、標的となりやすい細胞だと知られている。今年度得られた結果は、がん遺伝子の一つであるMYC遺伝子がヒト造血幹細胞の放射線感受性を左右する重要な因子である可能性を示唆しており、将来的な発がんリスク評価にも直結する非常に貴重な知見が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

造血幹細胞は病院より提供していただいたヒト臍帯血より分離精製し各種実験に用いた。造血幹細胞は実験を行う度に臍帯血より分離精製し、実験に使用しない臍帯血は凍結保存していた。しかしながら凍結保存した臍帯血より造血幹細胞の分離精製を試みた際、搾取できる細胞数が減少し、及び凍結のダメージによって機能異常を示す細胞が多く、予定していた解析項目全てを行うことが出来なかった。
一方で、放射線暴露後の網羅的遺伝子解析は全て予定通り行うことが出来ているため、次年度は冷凍保存した臍帯血を用いることなく、実験に必要な細胞の確保を出来るよう工夫をする。

今後の研究の推進方策

本年度は、長期冷凍保存した臍帯血からの造血幹細胞の精製制度が想定外に低く、予定していた全ての解析項目を行うことが来なかった。次年度は実験の直近に臍帯血を確保することで細胞の精製精度の問題を解決し、実験推進に努める。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] 電離放射線暴露マウス骨髄有核細胞におけるMyc遺伝子発現の解析.2014

    • 著者名/発表者名
      西山 彩香 辻口 貴清 山口 平 村上 翔 柏倉 幾郎
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第57回大会
    • 発表場所
      かごしま県民交流センター(鹿児島県, 鹿児島市)
    • 年月日
      2014-10-01 – 2014-10-03
  • [学会発表] 致死放射線ばく露マウスに対するc-Mpl作動薬の作用2014

    • 著者名/発表者名
      山口 平 廣内 篤久 石川 純也 辻口 貴清 西山 彩香 村上 翔 小村 潤一郎 柏倉 幾郎
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第57回大会
    • 発表場所
      かごしま県民交流センター(鹿児島県, 鹿児島市)
    • 年月日
      2014-10-01 – 2014-10-03
  • [学会発表] Effects of a c-mpl receptor agonist on mice exposed to lethal ionizing radiation.2014

    • 著者名/発表者名
      M. Yamaguchi, T. Hirouchi, M. Chiba, S. Monzen, H. Yoshino, J. Ishikawa, T. Tsujiguchi, A. Nishiyama, S. Murakami, J. Komura, I. Kashiwakura
    • 学会等名
      The 9th International Symposium on the Natural Radiation Environment
    • 発表場所
      ホテルニューキャッスル(青森県, 弘前市)
    • 年月日
      2014-09-22 – 2014-09-26
    • 国際学会
  • [学会発表] Expression analysis of radiation responsive genes in human hematopoietic stem/progenitor cells.2014

    • 著者名/発表者名
      Takakiyo Tsujiguchi, Tokuhisa Hirouchi, Satoru Monzen, Yoshiaki Tabuchi, Ichiro Takasaki, Takashi Kondo and Ikuo Kashiwakura
    • 学会等名
      1st Educational Symposium on Radiation and Health by young scientists
    • 発表場所
      ホテルニューキャッスル(青森県, 弘前市)
    • 年月日
      2014-09-22 – 2014-09-23
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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