全ての血球を産生する造血幹細胞は、多分化能と自己複製能を有する生体の恒常性において極めて重要な細胞であり、その高い増殖能ゆえに放射線の標的細胞となる。ヒト造血幹/前駆細胞に2GyのX線を照射し、遺伝子プロファイルを網羅的に調べたところ、非照射群に対し照射群ではMyc遺伝子の発現が上昇していると予測された。また照射・非照射群間では、EIF4G1遺伝子、PNO1遺伝子の発現が上昇していた。これら二つの遺伝子はMyc遺伝子の下流遺伝子に属し、細胞死に関与している。Myc遺伝子、EIF4G1遺伝子、PNO1遺伝子は造血幹/前駆細胞の放射線感受性に深く関与している可能性が示唆された。
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