痛覚過敏様の行動変容を認めるμオピオイド受容体欠損(以下、MOP-KO)マウスの中脳中心灰白質(以下、PAG)の脳形態異常に寄与する細胞構成要素を明らかにする研究に着手した。結果として、PAGの形態異常が惹起された背景として、アストロサイト、マイクログリア、そしてニューロンの数が野生型マウスに比較して多い事が明らかにされた。MOP受容体が欠損することにより下行性疼痛抑制系の起始核であり脳内疼痛関連部位であるPAGにおいてグリア細胞と神経細胞の異常が確認された事実は、痛覚過敏の病態形成の機序の解明に寄与する結果であると考えられる。
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