①発症メカニズムの解明:骨粗鬆性疼痛とサルコペニアの関連性 ②治療法の解明:骨粗鬆性疼痛とサルコペニアに対する薬物療法の検討 治療薬として抗NGF抗体、ビスフォスフォネート、モルヒネ、プレガバリンを用いる。治療群はControl+生食群、骨粗鬆症+生食群、骨粗鬆症+抗NGF抗体群(各n=20)とする。ビスフォスフォネート製剤、モルヒネ、プレガバリンについてはControl+生食群、Control+治療薬群、骨粗鬆症+生食群、骨粗鬆症+治療薬群(各n=15)の4群とし、以下の評価項目を投与前後に経時的に評価する。A)骨密度測定:各群共治療開始前、及び初回投与から4週間後の計2回実施する。B)筋肉量測定:A)同様の方法で各群の筋肉量を測定する。C)運動量測定及び疼痛行動評価 ①発症メカニズムの解明:骨粗鬆性疼痛とサルコペニアの関連性 骨粗鬆症モデルである卵巣摘出マウスはコントロール群に比し骨密度が有意に低下し、筋肉量、運動量も有意な低下を認め、疼痛行動評価においても、コントロール群に比し有意差に疼痛閾値の低下を認めた。骨粗鬆症マウスは疼痛閾値の低下及びサルコペニアを有する可能性が示唆された。②治療法の解明:骨粗鬆性疼痛とサルコペニアに対する薬物療法の検討 抗NGF抗体、プレガバリンは骨粗鬆症群で疼痛行動評価の有意な改善を認め、ビスフォスフォネートは骨粗鬆症群で骨密度及び疼痛行動評価の有意な改善を認めた。対してモルヒネは疼痛行動の有意な改善は認めず、骨粗鬆性疼痛への効果が乏しいことが示唆された。以上により骨粗鬆性疼痛への治療については骨密度を改善し、疼痛を軽減させうるビスフォスフォネートが最も望ましいと考えられた。しかし、いずれの薬物においても筋肉量、運動量共改善は認めず、サルコペニアの改善は以上の薬物では困難である可能性が示唆された。
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