本研究はIFNγが血管炎症や血栓形成に関与しているという既存研究結果に着目し、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の病態形成におけるIFNγの影響について検討した。CTEPH患者の血清IFNγ濃度を測定範囲以下群と測定範囲以上群の2群に分けて検討すると、肺動脈造影による血栓部位は、後者の方が有意に末梢型であった。in vitro 実験では、肺動脈内皮細胞はIFNγ刺激により炎症性サイトカイン・細胞接着因子産生が亢進し、血栓由来内皮細胞はIFN刺激がなくてもより強く炎症に関与したRNAが高発現している一方で、IFNγ刺激によって凝固に関与するRNA発現は凝固抑制の方向に誘導された。
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