研究課題
JAK2は非受容体型チロシンキナーゼであり、細胞質のシグナル伝達分子として知られているが、恒常活性型変異体である JAK2V617F が核内において直接ヒストンH3 チロシン 41 をリン酸化しエピジェネティックに遺伝子発現に関わることが報告された (Dawson MA et al., Nature 461: 819, 2009)。また、JAK2V617Fは骨髄線維症を含む骨髄増殖性腫瘍患者で高頻度に認められている (James C et al., Nature 1144: 434, 2005)。平成27年度は、Jak2V617Fトランスジェニックマウスとポリコーム遺伝子Ezh2ノックアウトマウスとのコンパウンドマウスを解析し、骨髄線維症様の病態を認めた。興味深いことに、ポリコームターゲットでがん遺伝子でもあるHmga2において、活性化エンハンサーマークであるヒストンH3リジン27アセチル化(H3K27ac)が亢進していた。そこで、H3K27acを認識し結合するブロモドメインの阻害剤JQ-1をコンパウンドマウスに投与したところ、ポリコームターゲット遺伝子の発現が抑制されるとともに、骨髄線維症細胞が顕著に減少した。以上から、JAK2V617Fは、EZH2機能欠損と協調的に遺伝子発現に関わり、骨髄線維症の発症を促進していることが明らかとなった。また、ブロモドメインの阻害剤JQ-1が骨髄線維症の治療法になる可能性が示された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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