本研究は、精神疾患をもつ母親が自身の体調を管理しながら行う育児を促進する看護援助指針を作成することを目的とした。援助指針作成に向けて、昨年度から行っていた文献検討をさらに深めた。また、面接調査を開始した。面接調査では、精神疾患をもつ母親に対し、体調を管理しながら行う育児に対する思い、体調を管理しながら行う育児に関する困難感、実際の育児について面接調査を行った。そして、体調を管理しながら育児を行う上で有益だったサポートや必要としていたサポートについて明らかにした。さらに、家族員に対し、母親の体調管理や育児に対する家族員のサポートや母親や家族員が有益だったり必要としていたサポートについて面接調査を行った。面接調査からは、サポート体制によって母親の体調管理、育児状況、子どもの成長発達に相違がみられた。母親が自身の体調管理をしながら育児を行うためには、家族員のサポートが重要であった。また、家族員も、母親へのサポートを継続するためには、周囲のサポートや理解を必要としていた。これらの面接調査と文献検討より、精神疾患をもつ母親が自身の体調を管理しながら行う育児を促進する看護援助指針が導き出された。本研究は精神疾患をもつ母親や家族員の体験をもとに導かれた看護指針である。先行研究では困難については明らかにされているが、支援について述べた研究は少なく、看護援助指針を導いたことは意義があると思われる。母親と家族員の双方から面接調査を行った研究はほとんどなく、家族看護の視点でも意義があると思われる。また、今後、精神疾患をもちながら育児を行う女性が増えることが予測される。しかし、支援の特殊性に戸惑っている専門家は多く、本研究は支援する際の一助になると考えられる。
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