研究課題/領域番号 |
26893050
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堀江 真史 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (60732659)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 非小細胞肺癌 / FANTOM5 / CAGE / 予後 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
FANTOM5のデータを活用して非小細胞肺癌に特異的に発現している遺伝子群を抽出し、なかでも遺伝子Aが極めて特異的・かつ豊富に発現していることを見出した。公開されているCCLEなどの細胞株やTCGAなどの肺癌組織のマイクロアレイ・RNA-seqデータでも同様の傾向があることを確認した。10種類以上の非小細胞肺癌の細胞株と正常気道上皮細胞を用いて、qPCR,ウェスタンブロットを行い、一部の非小細胞肺癌において極めて豊富に遺伝子Aが発現していることを確認した。 次にsiRNAを用いたloss of functionの検討において、遺伝子AがA549・H441肺癌細胞株において増殖能・浸潤能・アポトーシスに関与していることを示した。さらにgain of functionの検討として遺伝子Aのクローニングを行い、レンチウイルスベクターを作成し、遺伝子Aを発現しない正常気道上皮細胞であるBEAS2B細胞への過剰発現させることに成功した。 臨床的意義の検討のため、予後データの得られる公開されているマイクロアレイデータを活用し、肺腺癌・肺扁平上皮癌での予後解析を行ったところ、複数のデータセットにおいて有意に遺伝子A高発現群で予後不良であることが分かった。さらに十分な症例数の得られたものを抽出しメタ解析を行ったところ、遺伝子Aの発現量と予後の有意な負の相関を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子Aの機能・予後への影響が解明されバイオマーカーとしての意義が明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
gain of funtionでの機能解析やヌードマウスを用いたin vivoでの機能解析を行う。また遺伝子Aが制御する遺伝子群をcDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析を行う。発現制御のメカニズム(遺伝子コピー数・DNAメチル化など)を公開されたデータを活用し検討を行う。実際の肺癌組織での免疫染色を行い、可能であれば組織マイクロアレイを用いたタンパクレベルでの予後解析を行う。
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