申請者はまずNSGマウスにおいてヒトT細胞追跡モデルを作成し、pilot studyで認められた傾向と同様に、移植したヒト皮膚片に移行した末梢血T細胞が皮膚片内でCD69、CD103を発現することを示した。同時に、マウス循環中のヒトT細胞は、移植前の状態と同様CD69、CD103を発現していなかった。さらに申請者はヒトT細胞追跡マウスモデルにおいてヒト末梢血T細胞を移植した後経時的に移植ヒト皮膚片内への浸潤T細胞の表現型を検討し、末梢血T細胞移植後2週で皮膚に移行したT細胞の一部がまずCD69を発現すること、主としてCD69を発現したT細胞がその後にCD103発現を獲得することを見出した。ヒト皮膚T細胞は、大きくCD69+CD103+、CD69+CD103-、CD69-CD103-の三分画に区別することができ、さらにこの状態でT細胞追跡マウスモデルに循環中のT細胞を除去するalemtuzumabを投与したところ、移植皮膚片中のCD69-CD103- T細胞が選択的に除去されることが判明した。つまり、ヒトにおいて、CD69-CD103- T細胞が再循環T細胞であり、CD69+CD103+ T細胞とCD69+CD103- T細胞の二分画が皮膚に一旦移行した後皮膚に留まり続けるresident memory T細胞である可能性が考えられた。
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