研究課題
超高齢化社会を迎えた日本において変形性膝関節症に伴う半月板損傷や軟骨変性に対し優れた再生医療技術を開発することは、約850万人と推定される莫大な規模の患者に待望されている。そこで、本研究では滑膜に存在する間葉系幹細胞の局在部位の同定、ならびに純化した細胞の機能解析を行うことによって、特性に基づいた基盤技術の開発を試みた。滑膜幹細胞の同定を行い、日本再生医療学会で報告した。変形性膝関節症患者由来の滑膜組織を用いて組織学的な解析を行った。滑膜組織は表層(狭義の滑膜)、間質(滑膜下結合組織)、血管周囲の3つに分類できる。これらの固有マーカーを探索するため、細胞膜抗原と細胞外基質に関連する20種の抗体で免疫染色後、各領域に特異的な発現を解析した。さらに、滑膜組織における幹細胞を同定するため酵素処理した滑膜細胞を各マーカーにより分取した後に増殖させ、増殖・軟骨分化能を解析した。免疫染色による解析で、滑膜表層領域、間質、血管周囲のマーカーを同定した。FACSによる分取では、間質領域が90%以上を占めており、最も多く採取できた。軟骨形成能においては、表層領域の滑膜幹細胞が最も小さく1.36±0.26mm、血管領域の滑膜幹細胞が最も大きな軟骨2.04±0.54mmを形成した(n=8, p<0.05)。また、細胞の機能解析により、不安定だが安全性の高いヒト血清を安定的に臨床現場で使用するための幹細胞培養法を開発した。その研究成果を査読有り英文雑誌であるStem cell research and therapy, 6 (1), pp. 1-11に公開した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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