研究課題
1. 骨代謝を制御するがん細胞由来分泌型miRNAの同定:前年度は、骨代謝に関わる遺伝子を制御し得る4種類のがん細胞由来分泌型miRNAを同定した。今年度は、これらのmiRNAを過剰発現させた間葉系幹細胞株の詳細な検討を行い、4種類のうちの1種類のmiRNAが著明な骨形成促進作用を有することを見出した。2. がん細胞由来分泌型miRNAの標的遺伝子の同定:1.で同定したmiRNAの標的遺伝子をweb上のデータベースで候補を絞り、さらに、このmiRNAを間葉系幹細胞株に過剰発現させ、候補標的遺伝子の発現動向をリアルタイムPCR法およびウェスタンブロッティング法にて検討した。その結果、候補標的遺伝子は2つに絞られ、また、ルシフェラーゼアッセイ法により、同定したmiRNAがこれらの候補標的遺伝子に結合することも確認した。3. がん細胞由来分泌型miRNAの細胞間伝搬機構の検証:エクソソームのマーカーであるCD63にGFPを結合した融合タンパク質を発現させたがん細胞株を構築し、さらにこの細胞株に1.で同定したmiRNAを過剰発現させた。このがん細胞株と間葉系幹細胞株を共培養したところ、間葉系幹細胞株ががん細胞株から分泌されたエクソソームを取り込んでいる像を確認できた。また、エクソソームを取り込んだ間葉系幹細胞株で、1.で同定したmiRNAの発現が亢進していることも確認した。4. 骨転移マウスモデルを用いたmiRNAの生理作用の解析:骨転移の移植モデルとして、頭蓋骨上移植モデルを使用した。1.で同定した骨形成促進miRNAを、溶骨性の骨転移を誘発することで知られる乳癌細胞株に過剰発現し、免疫不全マウスの頭蓋骨上に移植したところ、造骨性の骨転移が誘導されることを見出した。また、移植した乳癌細胞が骨組織に分化しているのではなく、ホスト側の細胞の骨分化が誘導されることも明らかにした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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