ストレス社会である現代において、耐え難い痛みがいつまでも続く疼痛性障害(pain disorder)が歯科領域においても問題となっている。その原因として、脳内神経伝達物質であるセロトニンの不足の関与が示唆されているが、すべてのことが明らかになっていない。そこで、研究申請者は、うつ状態と脳内セロトニンの減少、痛みを受容する末梢受容器に影響を与える神経ペプチドおよび脳内セロトニンの増加による疼痛性障害の軽減について明らかにすることを目的とした研究を立案した。 昨年度は、うつ病に関与していると考えられるカンナビノイドレセプター(CB1レセプター)の分布を検討し、海馬や小脳および延髄で多く発現していることが確認された。さらに、脳内で産生するカンナビノイド(エンドカンナビノイド)の分解を阻害する薬剤(JZL187)を用い、エンドカンナビノイドの産生量を、ウェスタンブロッティング法および免疫組織化学染色法を用いて定量化することを試みた。結果については現在実験データを詳細に解析している途中である。
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