研究課題/領域番号 |
26893088
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高辻 華子 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 研究員 (80736679)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 嚥下 / 痛覚 / うま味 / 脂肪 / 咽頭 / 喉頭 / 電気刺激 / 舌咽神経咽頭枝 |
研究実績の概要 |
申請者は、咽頭・喉頭領域の電気刺激による嚥下促進効果について生理学的手法を用いて実験し、また咽喉頭領域におけるうま味および脂肪受容機構の特殊性について報告してきた。これらの結果をもとに、嚥下の促進または抑制機構と修飾因子の解明を目指すために、本研究を立案した。 近年、温度感受性受容体の研究が進み、これまで様々な温度感受性TRP (TRP:transient receptor potential vanilloid receptor)チャネル(TRPV1、TRPV2、TRPV3、TRPV4、TRPM2、TRPM3、TRPM4、TRPM5、TRPM8、TRPA1)が発見され、このうち、TRPV1、TRPV2、TRPM3、TRPM8、TRPA1、が感覚神経に多く発現している。さらにTRPM5は味蕾に発現が認められ、うま味・甘み・苦みの受容に関与することが報告されている。これらのTRPチャネルは咽頭・喉頭領域でも発現が確認されており、様々な機能に関与していることが報告されているが、その詳細は解明されていない。 本申請研究において、舌後部・口蓋扁桃・咽頭および上咽頭後壁領域におけるTRPV1、TRPV2、TRPM3、TRPM8、TRPA1の発現分布について調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は咽頭・喉頭領域からの感覚入力が嚥下反射を促進するメカニズムを解明するために、嚥下中枢における内因性カンナビノイドによる逆行性シナプス伝達抑制の関与について実験を行ってきた。その結果、咽頭・喉頭感覚入力が内因性カンナビノイドを介して嚥下反射の促進を調節することが判明した。したがって、本研究における咽頭・喉頭感覚が嚥下反射を修飾する機能の一部は解明したが、研究申請計画のように免疫組織化学染色法を用いたTRPチャネルの咽頭・喉頭領域における発現分布の検討ができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
免疫組織化学染色法を用い、TRPV1、TRPV2、TRPM3、TRPM8、TRPA1の発現分布を調べるとともに、それぞれのアンタゴニストを使い、水応答・うま味応答および脂質応答などどのような味応答に関与しているのかについて検討する。さらに嚥下反射に関与しているのかについても調べ、咽頭・喉頭領域の生理学的な機能について総合的にTRPチャネルの関与を検討する。
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