研究課題
遺伝子診断が未確定の家族性高コレステロール血症例に対して網羅的遺伝子解析法(エクソームシークエンシング法)で未解明の原因分子を同定し、その機能を明確とすることを目的とした研究である。このような極端な症例・家系に対して昨年度に引き続き、全エクソームシークエンシング法を用いて網羅的遺伝子解析を遂行した。その中で、本症は通常優性遺伝形式を呈する(両親のいずれかに同様の臨床像が認められる)が、劣性遺伝形式を呈する(両親に臨床像が認められない)家系を同定し、本家系に対して全エクソームシークエンシング解析を行った。新規分子の同定には至らなかったものの、LDL受容体にいわゆるde novo変異(c.1136G>A or p.Cys379Tyr)が確認された(両親に同変異は認められなかった)。このような突然変異は全エクソーム領域にわたり、本変異のみであった。これにより、LDL受容体においてこのような突然変異が起こり得ること、さらにはこのような突然変異により本症臨床像を呈すること、全エクソーム領域において突然変異は1個のみであったことを示した。本症においてこのような報告は世界初であると思われる。また、全エクソーム領域の中で、突然変異は1個程度起こり得ることは、これまでの網羅的遺伝子解析により推定されていたが、我々の解析においてこの現象を再現することができた。人類遺伝学的にも貴重なデータであると思われる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Clinica Chimica Acta
巻: 453 ページ: 194-196
10.1016/j.cca.2015.12.028