研究課題/領域番号 |
26893099
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藪中 幸一 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00737215)
|
研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
キーワード | 超音波 / 便秘 / 看護ケア / 排便 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
・便秘は小児から高齢者まで多くの人が抱える一般的な障害であるが,時として深刻な腸疾患を発症する原因ともなる.特に、介護を必要とする高齢者の便秘は、当事者だけでなく介護者にも大きな負担となっている。したがって,排便の適切な治療やケアが必要であり、そのためには便性状の評価が最も重要となる.しかし、腹部触診や問診ではその区別は困難であり、適切なケアを提供できていない現状がある。そこで、申請者は利便性と安全性を兼ね揃えた超音波検査装置(エコー)を用いて大腸を可視化することでこの問題の解決を目指した。本研究では、便秘患者を対象とした排便ケアにおいて、エコーを用いた適切な排便ケア方法の確立を目的とした。 ・調査方法:エコーを用いた大腸内容物のアセスメント方法の有効性を検証するためには、対照群を設定し前向きに検討する必要がある。さらに、エコー以外の要因が排便ケアと便秘へ及ぼす影響を排除するため、介入群と対照群はランダムに割り付ける必要がある。そこで、エコーによる排便ケアの変化とそれにともなう便秘日数の短縮、適切な排便、薬剤による排便ケアの減少を示すことを目的としたランダム化比較対照試験を実施している。 ・対象者:排便困難でRomeⅢによる機能性便秘と判断し排便ケア実施が決まった患者とした。 ・調査手順:問診(既往歴、排便の頻度、排便時の困難感と下痢症状の有無、および排便方法)及び排便状態(King's stool char)と大腸のエコー画像を比較検討している。エコーは排便ケアの翌日から便秘が改善するまで1日1回実施している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・本研究課題の当初研究目的の達成度は現時点で65%である。 ・本研究の目的は、エコー検査以外の要因が排便ケアと便秘へ及ぼす影響を排除するため、介入群と対照群はランダムに割り付ける必要がある。そこで、エコーによる排便ケアの変化とそれにともなう便秘日数の短縮、適切な排便、薬剤による排便ケアの減少を示すことを目的としたランダム化比較対照試験を実施している。現在、介入群と対照群のデータ収集のため、週に1名から2名の排便困難な患者に対してエコーを行っており、着実にデータ収集を実施している。 ・ただし、本研究は、排便困難なRomeⅢによる機能性便秘と判断し排便ケア実施が決まった患者を対象としており、研究実施前に患者又は家族からの承諾を得る必要がある。研究対象者の中には認知機能の低下があり意思決定が困難な患者も含まれており、家族から同意を得る前に排便ケアが行なわれ場合がある。また、研究者が、排便ケアの翌日から便秘が改善するまで1日1回エコー検査を実施するが、患者の都合により継続的なエコー観察が困難な場合がある。 ・今後は、患者への十分な倫理的配慮を行いながら、エコーを用いた適切な排便ケア方法の確立を目指した更なる調査を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
超音波画像による排便ケアの適性や有効性の評価 ・対象:排便困難でRomeⅢによる機能性便秘と判断し排便ケア実施が決まった患者とする。 ・調査手順:問診(既往歴、排便の頻度、排便時の困難感と下痢症状の有無、および排便方法)及び排便状態(King's stool char)と大腸のエコー画像を比較検討している。エコーは排便ケアの翌日から便秘が改善するまで1日1回実施する。 ・排便ケアの適性や有効性の評価は、排便ケア実施後の排便状態から下剤又は浣腸を選択した排便ケア方法の適性と有効性を評価する。便秘症患者を対象に触診と聞き取り調査で推測される排便状態は、一般的に行われている看護アセスメントであるが、超音波画像を追加することで、ガス貯留か便塊かを区別することができ、より精度の高いアセスメントになると考える。そこで、排便ケアの前に超音波画像による評価を加えることが有益であると推測される。 ・研究が当初計画どおりに進まない時の対応:聞き取り調査及びエコー画像が計画通りに進まないときは、その時点までのデータを使用して研究を進める。又は、他の病院施設(金沢大学医学部付属病院、東京大学医学部附属病院、金沢市近郊の介護保険施設)での実施を依頼する。
|