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2014 年度 実績報告書

生体イメージングを用いた外因性ストレスが網膜神経節細胞の軸索流に与える影響の解析

研究課題

研究課題/領域番号 26893100
研究機関福井大学

研究代表者

三宅 誠司  福井大学, 医学部, 助教 (50572765)

研究期間 (年度) 2014-08-29 – 2016-03-31
キーワード緑内障 / 軸索輸送 / ミトコンドリア / サイトカイン / ライブイメージング
研究実績の概要

近年、動物モデルや臨床データから緑内障の病態にTNF-α/TNF-α受容体シグナル経路が関与していることや、初代培養した網膜神経節細胞の固定標本を用いた実験からTNF-αが神経節細胞のアポトーシスを誘導することが報告されている。しかし、細胞が消失するまでの過程や細胞死の前駆段階の軸索流の変化をリアルタイムで捉えた報告はない。そこで、網膜神経節細胞およびその軸索の消失過程に、細胞死を誘導する外的刺激がどの様な影響を与えるのか、軸索輸送を指標として動的に検証することにした。
生後3から4日齢のラットから網膜を摘出し、そこからTwo-step immunopanning法によって単離した網膜神経節細胞を使用した。網膜神経節細胞を一週間培養した後、最終濃度10〜0.0001ng/mLの間で段階希釈したTNF-αを培養液に添加した。網膜神経節細胞の形態変化を経時的に観察したところ、添加した翌日に軸索の断片化を起こし細胞死に至る時もあれば、一週間以上生存する場合もあった。実験結果の再現性を得ることはできていないが、ミトコンドリアの生体染色が軸索流の検出に利用できることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ラット網膜の網膜神経節細胞の単離を我々のグループの経験者から指導を受けて遂行した。しかし、経験の差が大きいためか、毎回回収できる細胞数にばらつきがあることや、単離後一週間培養した後に種々の操作を計画しているが、それまでに全滅する場合もあり、実験で使用するためのまとまった細胞数を確保するのに時間がかかっている。さらに、網膜からの網膜神経節細胞の単離精製方法の条件検討を再度行ったことも遅れている要因の一つである。これらに加え、蛍光色素やサイトカインの添加、洗浄操作のための培地交換が細胞に対して非常にストレスが高いことも明らかとなり、どの程度の数の細胞を播種し、どの様な方法で試薬を添加・交換すればよいのかについての検討にも時間を要している。

今後の研究の推進方策

現在、網膜神経節細胞の単離精製について条件が決まりつつあり、当初よりも細胞数を確保できるようになってきたことから、軸索流の検出に適した播種条件を早急に決定したいと考えている。その上で、TNF-αの添加によって細胞死が誘発される過程で、軸索流に起こる変化に再現性を得られるのか検討したい。
軸索流を観察するための第一段階としてミトコンドリア生体染色が不可欠となる。色素そのものに細胞毒性はないが、染色後の洗浄が細胞に対してストレスとなることから、染色濃度を検討することで、洗浄操作を必要としない色素濃度を決定する予定である。
単離した網膜神経節細胞で軸索流を検討することはTNF-αやIL6等の生理活性物質の軸索輸送に対する影響を明らかにできるだけではなく、薬剤開発において種々の化合物の神経保護作用を検討する上でも有益な手段となることから、しっかりと実験系を確立した上で動物を用いた生体イメージングへ移行したいと考えている。

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公開日: 2016-06-01  

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