平成26年9月より水痘ワクチンの定期接種が開始され、平成27年からは広域定期接種ワクチン事業が始まった。またワクチン製造過程における安全性の問題や、それに伴うワクチン安定供給不足などの新たな問題も生じ小児予防接種現場の混乱は明らかであった。そこで小児ワクチン移行期の現場の実態や誤接種の状況、実際にワクチン接種業務に携わる看護師の思いや誤接種防止の実際などを明らかにし、誤接種防止に取り組むために本研究を実施した。 ①小児予防接種現場の現状調査(アンケート調査)の実施:近畿・北陸地区の小児定期予防接種実施機関を869施設にアンケート調査を実施。回答施設数は274施設(回収率31.5%)であった。回答から誤接種の実態やそれに伴う具体的な対策、看護師の思いなどが明らかになった。またアンケートの回答以外にも、実際に使用している誤接種対策用品などを送付してくれた施設もあり、アンケートを実施したことで、安全な予防接種業務について再検討したとの意見もあった。 ②面接調査:具体的な誤接種の状況や誤接種対策などを調査するために、半構成的面接調査を行った。上記アンケート調査時、無作為に抽出した50施設に面接調査の依頼をし、5施設からの返信が得られた。(回収率10%)面接内容は「近年の予防接種制度の変更や、広域事業の開始などで予防接種業務はどのように変わったか」「経験した誤接種の内容」などを聞き取り調査し、「誤接種対策の実際、実物」などの情報を得た。 ③調査の結果得られたデータを量的、質的に分析を行った。その結果をもとに誤接種防止マニュアルの作成と結果報告のための準備を進めている。
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