研究課題
本研究は頭頸部腫瘍に対する頭蓋底手術における軟部組織付き3Dモデルシミュレーションの開発を目的としている。平成26年度までに脳、眼球、耳下腺については軟部組織を3Dモデルとして作成することに成功しており、頭蓋骨3Dモデルと組み合わせることでより実践的な3Dモデルシミュレーションが可能となっていた。平成27年度は頭蓋底手術を必要とする頭頸部腫瘍患者の中で、進行鼻副鼻腔癌に対して前中頭蓋底切除術を施行した患者のみならず、局所進行外耳道癌に対して側頭骨亜全摘術を施行した患者も含めデータの解析と評価を行った。より実践的な3Dモデルシミュレーションの開発のために顔面の皮膚を薄いシリコンにて被覆して再現し、メスなどの手術器具にて実際に「模擬手術」を施行した。皮膚切開や皮弁拳上といった、頭蓋骨までのアプローチ法を実践的に再現することが可能であり、解剖の理解が深まった。ただシリコンではやや伸縮性に乏しく破損することもあったため、実際の皮膚にさらに近い素材での再現が期待される。側頭骨亜全摘術においては術中の患者の体位やベッドの角度が重要であるが、手術室での軟部組織付き3Dモデルシミュレーションを行うことで、側頭骨亜全摘術ではベッドを水平から12度傾けた体位が最も手術操作を円滑に行えることが確認できた。同モデルは第27回日本頭蓋底外科学会でのハンズオンセミナーにて実際に参加者により模擬手術が行われ、日本全国でのそれぞれの施設での手術方法の違いについて検討することが可能であった。平成27年度までに計6症例に臨床応用され、このシミュレーションにて研鑽を行った若手医師が執刀するレベルにまで達し、術後在院死亡や再手術もなく、良好な手術成績を収めている。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Otolaryngology-Head and Neck Surgery
巻: 153 ページ: 231-238
10.1177/0194599815586770