本研究の目的は、低出生体重児の遅発性敗血症に関わる “not doing well”の熟練医療者の気づきの体験を明らかにし、質の高い臨床判断に繋げる手がかりを明らかにすることである。2015年9月~11月に、新生児集中ケア認定看護師が推薦する新生児看護経験10年以上を有する看護師15名(看護師経験19.7±4.8(M±SD)年、新生児看護経験15.7±4.3年)、同じく10年以上の新生児医療に携わる医師6名(医師経験21.3±2.6年、新生児医療経験17.3±3.4年)に半構成的面接を行った。平均インタビュー時間は、看護師41.4分、医師38.3分であった。現在、スーパーバイズを受けながら質的内容分析を進めている。分析の途中ではあるが、看護師は、現象を、経時的な線で捉え、医師は、点で捉えていた。そのため、看護師は“いつも”の子ども自身の変化から、“not doing well”に気づき、医師は、看護師の“not doing well”の気づきの報告あるいは、経時的なモニターの変化であるトレンドからの気づきを主としていることが語られた。そうした医師と看護師との差異から、看護師が、“いつも”の子ども自身の様子を受け持ち時のみでなく、経時的な線で看ていくことが看護の独自性であり、それを大切にしていくことが経験の浅い看護師も“not doing well”に気づくことに繋がることが示唆された。研究成果については、第26回日本新生児看護学会で公表し、その後、論文化をしていく。
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