研究実績の概要 |
(1) 無細胞合成系を用いたM2タンパク質合成の条件検討 / ウェスタンブロットで、His6タグとFactor Xaサイトを付加したM2タンパク質(His6-Xa-M2)の発現を確認することが出来た。しかしながら、生体膜上でM2タンパク質はジスルフィド結合により二量体を形成しているのに対して、無細胞合成系では大部分が単量体で存在していることが分かった。酸化型と還元型グルタチオンを様々な比率で混ぜ合わせて二量体形成を促進させたが、結果は好転しなかった。還元剤DTTを含まない合成キットでは二量体形成がやや促進されたが、大幅な改善には至らなかった。加えて、キット間で実験結果の再現性を取ることが難しく合成量も芳しくなかったため、無細胞合成系を断念して大腸菌での合成系に切り替えた。 (2) 大腸菌を用いたM2タンパク質合成の条件検討 / 上記のHis6-Xa-M2を大腸菌で様々な条件検討を行ったところ、大量発現の確立に成功した。しかしながら、依然として二量体形成が完全でないことと、Niカラムを用いた精製法では不純物を完璧に取り除くことが出来なかったことから、二量体形成の促進および目的タンパク質の純度向上が課題として残った。 (3) 大腸菌を用いたM2タンパク質合成の条件検討 / 二量体形成を促進するために自己会合型コイルドコイル(ERE4)をM2タンパク質に導入した(非常に親和性が高く、Kd値はサブnMオーダーと予測される)。純度を向上させるために、His6タグとStrepタグの両方を用いて様々なバリエーションのM2プラスミドを作製した(例:His6-Strep-ERE4-Xa-M2, Strep-ERE4-Xa-M2など)。しかしながら、申請者のポストの任期切れにより異動を余儀なくされ、半年間を残して研究を中断せざるを得なくなった。
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