研究課題
クローン病(以下CD)の腸管線維化に関与する機序解明について、線維化疾患に関与しているコラーゲン産生に必須の分子であるheat shock protein(以下HSP)47に着目し、CD腸管線維化との関与及び腸管線維化制御法の開発を目指す研究を行った。本年度は炎症性腸疾患(以下IBD)モデルマウス及びヒトにおいて腸管線維化におけるHSP47の解析を行った。結果)前年度はヒトIBD患者の大腸手術検体の解析によりHSP47、コラーゲン、IL-17AがCD腸管炎症部位にて有意に発現増強を認め、このIL-17AがHSP47発現に関与する事をマウス及びヒトにて明らかとした。本年度はマウス線維芽細胞株(NIH3T3)及びヒト大腸筋線維芽細胞(CCD-18Co)を用いてIL-17AのHSP47発現に関与するメカニズム解析のため、IL-17A経路について各種阻害剤を用いて解析を行った。結果、IL-17A経路のうちc-jun N-terminal kinase(以下JNK)経路を阻害した場合でのみHSP47及びコラーゲンの蛋白発現が抑制される事を確認した(Western blotting法)。この事は、IL-17A刺激の中でもJNK経路がHSP47発現に重要であり、腸管線維化におけるJNKの関与を示唆する所見であった。また、マウス及びヒト培養細胞系においてHSP47遺伝子のプロモーター領域にGFPを組み込んだレポーターアッセイの実験系を確立し、IL-17A刺激によりGFPの発現亢進を認める事を確認した。考察)ヒト及びマウスにおけるIL-17AのHSP47発現メカニズムにおいてIL-17Aのsignaling pathwayについて解析を行い、JNK経路の関与を明らかとした。この事はCD腸管線維化におけるIL-17Aの中でもJNK経路における線維化の関与を示唆するものであり、今後腸管線維化における更なるメカニズム解析に重要と思われた。また、ヒト及びマウス細胞株にけるHSP47のレポーターアッセイ系の確立により、HSP47の関与する線維化関連物質のさらなる同定が可能になると思われた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件)
Intestinal reserch
巻: 14 ページ: 89, 95
10.5217/ir.2016.14.1.89
Endoscopy International Open
巻: 4 ページ: E323, E325
10.1055/s-0042-100721
Intestinal Reserch
巻: 13 ページ: 250, 258
10.5217/ir.2015.13.3.250
巻: 13 ページ: 266, 273
10.5217/ir.2015.13.3.266
PloS One
巻: 14 ページ: e0135552
10.1371/journal.pone.0135552
BMJ Open Gastroenterology
巻: 20 ページ: e000021
10.1136/bmjgast-2014-000021
