研究課題
本研究では、人間の生存に関わる基本活動である「モノを飲み込み胃に送り込む」という嚥下機能を、ファジィ理論を用いて音や呼吸に関する情報を解析し、非侵襲かつ身体的・心理的ストレスフリーな方法でセンシングして、嚥下障害の簡易診断システム開発を目的とした。現状の嚥下機能検査は、X線造影検査が一般的であるが、本システムでは、計測精度を従来と同程度に維持した上で場所、時間、体位・動作等の制限や拘束が少なく、さらにX線取り扱い技術が不要な、安価で簡便な検査を実現する。それにより健康維持のため、健康管理にも役立てられる。本研究では、鼻腔カニューレと圧電センサを被験者に装着し、それぞれから呼吸情報と音情報から嚥下抽出システムを構築した。方法1では音情報のみ、方法2では呼吸情報のみ、方法3では音情報と呼吸情報の2種類の情報を用いて嚥下区間を推定した。音情報は、フーリエ変換を適用することによって周波数領域で観測する。呼吸情報からは、誤嚥のリスクが高いとされる「吸息中の嚥下」、「嚥下から次の吸息までの潜時」を抽出する。また、嚥下反射時、食塊が舌により口蓋に押し付けられると、鼻腔へ食塊が誤って入らないように、軟口蓋が挙上して鼻腔が閉鎖され、気管は喉頭蓋により閉鎖される。その間、呼吸が0.5-0.7秒間停止する。本システムでは、この呼吸停止区間を用いて嚥下区間を抽出する。その結果、方法3にて特異度86.36%の最も良い評価が得られた。呼吸情報を用いない解析手法の場合、特異度28.03%の結果であったことより嚥下抽出時には、呼吸情報が非常に有用であることも確認できた。診断結果をフィードバックすることで、個人適応したリハビリテーションプログラムに繋げて自主的な健康管理を促すことも可能にした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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