研究課題/領域番号 |
26893131
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大音 壮太郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10511850)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 補償光学 / 加齢黄斑変性 / ドルーゼン / 視細胞 / 走査型レーザー検眼鏡 / 光干渉断層計 |
研究実績の概要 |
①健常眼におけるAO-SLOの撮影:健常眼における黄斑部視細胞の細胞密度、細胞形態に関するデータを蓄積した。対象者は50-80歳の健常者(眼科疾患の既往歴をもたないもの)とし、各年代15名程度のボランティア募集を行い、計40名の撮影を行った。Early Treatment Diabetic Study Group (ETDRS)で定められた各セクターの視細胞像を取得した。一般的眼科検査(視力、眼圧、視野、細隙灯、眼底)のほか眼底写真・スペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)撮影を行い、病理眼を除外した。 ②早期加齢黄斑変性患者眼におけるAO-SLOの撮影:早期加齢黄斑変性患者眼における黄斑部視細胞の細胞密度、細胞形態に関するデータを蓄積している。現在26名の撮影を行った。経時的変化を観察するため、6ヶ月に一度検査を継続している。ETDRSで定められた各セクターの視細胞像を取得し、2回目以降の撮影では初回と同部位を測定する。一般的眼科検査(視力、眼圧、視野、細隙灯、眼底)のほか眼底写真・SD-OCT・眼底自発蛍光・眼底視野計 (MP-1)検査を施行した。 ③視細胞の形態と機能の相関に関する検討:AO-SLOで得られた健常眼および早期加齢黄斑変性患者眼における黄斑部視細胞の細胞形態、細胞密度、細胞配列と、軟性ドルーゼン・pseudodrusenとの関係性、眼底自発蛍光シグナルとの関連およびSD-OCTにより得られた黄斑部網膜の3次元立体構造(全網膜厚・外顆粒層厚・視細胞外節厚)との相関を検討するため、それぞれの画像のレジストレーションを行った。また眼底視野計 (MP-1)により得られる眼底像に重ね合わせた網膜感度マップと視細胞形態・密度との相関を検討する目的で、同様にレジストレーション用画像の作成を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正常眼の撮影:45症例のデータ収集を目標にかかげ、本年度で40症例の撮影が行えた。 早期加齢黄斑変性症例の撮影:50症例のデータ収集を目標にかかげ、本年度で26症例の撮影が行えた。 視細胞の形態と機能の相関に関する検討:各イメージング機器から得られた画像のレジストレーション用画像を作成し、データ収集が終了と同時に相関に関する検討を行える状態にある。
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今後の研究の推進方策 |
①健常眼におけるAO-SLOの撮影:平成26年度に撮影した健常眼の経時的変化を検討するため、再度同一被験者でAO-SLOの撮影を行い、健常眼における同一部位での変化量に関するデータを蓄積する。 ②早期加齢黄斑変性患者眼におけるAO-SLOの撮影:平成26年度からの継続で、早期加齢黄斑変性患者眼における黄斑部視細胞の細胞密度、細胞形態に関するデータの蓄積を行う。特に病変境界部位での変化量に関するデータを蓄積する。 ③細胞形態と機能の相関に関する検討:平成26年度に確立した形態機能解析ソフトを用い、実際の早期加齢黄斑変性患者における視細胞の形態変化・密度低下と網膜各層の菲薄化・網膜感度低下の関係を解明する。 ④AO-SLOによる早期加齢黄斑変性診断プログラムの開発:AO-SLOから得られた正常眼および早期加齢黄斑変性の病理眼データから、早期加齢黄斑変性の予後を判断する診断プログラムや、治療の効果判定プログラムを作成する。視細胞障害の程度は、各セクターにおける健常眼視細胞密度・視細胞配列の平均値からの異常な偏位の程度として、または異常細胞の占める割合の程度として解析可能である。この視細胞解析ソフトを確立し、視細胞障害の経時変化を求めることにより早期加齢黄斑変性の予後を評価し、治療前後に撮影・解析することにより治療の効果判定を評価するプログラムを作成する。 ⑤pseudodrusen発生メカニズムの究明・治療の探求:ビタミンA欠乏モデルマウスを用いて、AO-SLOによる測定および組織標本作成を行う。モデルマウスにおける視細胞・pseudodrusen様物質の形態をAO-SLOおよび組織標本にて検討し、早期加齢黄斑変性症例の画像所見と比較する。更にモデルマウスに全身的・局所的にビタミンA投与を行い、AO-SLO画像所見が変化するかを検討する。
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