研究課題/領域番号 |
26893132
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小川 真寛 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00732182)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 認知症 / 活動の質 / 作業療法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、認知症高齢者に対して活動を提供した際に、その効果判定を熟練作業療法士がどのような視点をもち観察評価するかを整理し、評価ツールの基礎的デザインを作成することである。このようなその対象者にとっての活動の効果を観察から調べる方法の作成は、認知症高齢者等自己の主観的感情の表現ができない患者に意味のある活動をもつ機会を供給し、徘徊や無気力といった行動心理症状の軽減につながる可能性があるため、意義があると言える。 この目的を達成するため、最初の研究として、10年以上臨床経験のある作業療法士に10名に対して、半構成的インタビューを実施した。質問内容は、認知症の診断をもつ患者に、作業療法士として介入をしている際に、どのような活動時に、どのような患者の言動から、活動の導入した際の効果があったと感じたかに関して質問を行った。結果を逐語録にし、その中から研究疑問に合致する内容をコーディングし、類似したコードをまとめてカテゴリー化を行った。結果として得られた最終カテゴリーは「活動の取り組み」「活動中の表出」「他者関係」「活動の結果として得られるもの」の4つのカテゴリーとなり、その一つ下位のカテゴリーである2次カテゴリーは19項目にまとめられた。 その後、この2次カテゴリーの19項目に定義づけと例示を作成し、認知症高齢者の活動中の観察評価の視点としてまとめた。その視点の妥当性を検証するため、郵送によるデルファイ法にて、その視点が妥当かどうかを現在検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の一連の研究の最初の研究である熟練作業療法士へのインタビュー調査は予定より早期に終えることができた。その後、研究の方向性の決定に時間がかかり、2番目の研究である郵送によるデルファイ法を用いた調査の開始時期が予定より若干遅れてスタートした状態である。並行して別の調査を進めているため、今年度の研究終了時期には全ての予定していた調査が終了するように今後進める予定で、全体的にみると概ね順調に進呈していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は昨年度の調査から得られた観察の視点の項目の妥当性の検証が課題である。そのため、専門職に対するデルファイ法を用いたアンケート調査と実際場面で使用できるかどうかの観察等による妥当性の評価を実施する予定である。 また、同様に認知症以外の自己の感情の表出が困難な対象者、例えば、重症心身障害児(者)、脳血管障害による失語をもつ者等に対しても本評価が使用できるか、初期的な検討を行うことも検討している。
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