潜伏感染等の症状の乏しいウィルス感染では医療機関の関与が少なく、その疫学についての調査が困難である。インフルエンザウィルスは通年で潜在的に感染している可能性があり、致死的経過をたどることも知られている。本研究では典型的なウィルス感染症状の無い医療機関外の死亡例に対し、インフルエンザウィルスの検出を試み、死因についての検討を目的とした。 我々の施設で検案した13症例の咽頭ぬぐい液に、インフルエンザウィルスの遺伝子増幅法を施行したところ、1例からB型インフルエンザウィルスが検出された。このことから、死後検体からもウィルスの検出が可能なことが分かり、死体検案時におけるウィルス検査の有用性が示唆された。
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