研究課題/領域番号 |
26893140
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北川 晴朗 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50736246)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 抗菌性 / 薬剤徐放 / ポリマー / 根管充填用材料 / オンデマンド |
研究実績の概要 |
HEMAとTMPTを重量比で50/50の割合で混合し、これにCPC粉末を0.5、5、または10 wt%となるように添加し、加熱重合後に粉砕して、3種のCPC担持ハイドロゲル粒子(以下、0.5%-、5%-、または10%-CPCゲル粒子)を作製した。 作製した各CPCゲル粒子からのCPC徐放性を評価したところ、0.5%-CPCゲル粒子では、CPCの溶出が20日間まで認められ、5%-および10%-CPCゲル粒子では、120日間におよぶCPCの溶出が認められた。 つづいて、各CPCゲル粒子をメタシールSoftに20、または50 wt%配合した硬化ディスクを作製し、CPC徐放性を評価したところ、0.5%-および5%-CPCゲル粒子配合メタシールSoft(以下、CPCゲル粒子配合シーラー)では、粒子の配合量にかかわらずCPCの溶出は4日間までしか認められなかった。一方、10%-CPCゲル粒子を50%配合したものでは14日間におよぶ持続的なCPCの溶出が認められた。また、CPCゲル粒子配合シーラーから14日間CPCを溶出させた後に乾燥状態で14日間保管し、再度滅菌蒸留水に浸漬してCPC溶出性を評価したところ、ひきつづき14日間CPCの溶出が持続することが確認できた。 さらに、CPCゲル粒子配合シーラーの抗菌性を評価するために、Enterococcus faecalisを感染させた根管モデルを作製し、CPCゲル粒子配合シーラーを根管内に填入し、14日後の残存細菌数を測定した。その結果、10%-CPCゲル粒子配合シーラーでは、CPCゲル粒子非添加のメタシールSoftに比べて象牙質内の生菌数が減少し、明らかな殺菌作用が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載したように、本年度は、CPC担持ハイドロゲル粒子を作製し、CPC徐放性の評価を終えた後、CPC担持ハイドロゲル粒子をメタシールSoftに配合した硬化ディスクを作製し、CPC担持ハイドロゲル粒子配合シーラーのCPC徐放性と抗菌性の評価を行った。 当初予定していたオンデマンドでのCPC徐放性の検討、およびE. faecalis感染根管モデルを用いた抗菌試験によってCPC担持ハイドロゲル粒子配合シーラーの有効性の確認ができており、計画した実験は全て完了している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、作製したCPCゲル粒子配合シーラーについて、物性と根管封鎖性の評価を行い、臨床使用に適しているか否かについて検討する予定である。 物性の評価については、歯科用根管充填シーラーのISO規格(ISO 6876:2001)に準じ、被膜厚さと崩壊率を評価する計画をしている。さらに、Fluid filtration法を用いて根管封鎖性を評価し、CPCゲル粒子の配合による根管封鎖性への影響を検討する予定である。
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