平成26年度の実験で作製したCPC担持ハイドロゲル粒子配合メタシールSoftについて、物性および根管封鎖性の評価を行い、臨床使用に適しているか否かについて検討した。 まず、CPC担持ハイドロゲル粒子の配合による物性への影響を評価するため、シーラーの被膜厚さ、および崩壊率を測定した。被験シーラーとして、平均粒径が30、50、100、あるいは500μmのCPC担持ハイドロゲル粒子を作製し、各粒子をメタシールSoftに50 (wt)%で配合して、実験に供した。その結果、平均粒径が30μmのCPC担持ハイドロゲル粒子を配合したシーラーでは、歯科用根管充填シーラーのISO規格(ISO 6876:2001)で定められている被膜厚さ50μm以内と、崩壊率3.0%以内の基準値を満たしていることが分かった。 また、根管拡大・形成を行った単根管歯に、平均粒径が30、50、あるいは100μmのCPC担持ハイドロゲル粒子を配合したシーラーとガッタパーチャポイントを用いて根管充填を行い、湿潤状態で24時間あるいは14日間保管後に、Fluid filtration法にて根管封鎖性を評価した。その結果、粒径が50μm以下のCPC担持ハイドロゲル粒子を配合したシーラーでは、24時間保管後と14日間保管後の根管封鎖性の間に有意差は認められず、さらにCPC担持ハイドロゲル粒子非配合のメタシールSoftとガッタパーチャポイントを用いて根管充填を行った場合と同等の封鎖性を示すことが確認された。 以上の結果から、CPC担持ハイドロゲル粒子を配合したシーラーが、臨床使用に適した物性および根管封鎖性を備えていることが示唆された。
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