研究課題/領域番号 |
26893147
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小川 泰治 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10543481)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 要介護高齢者 / 口腔細菌叢 / 誤嚥性肺炎 / 口腔清掃 / 唾液 |
研究実績の概要 |
近畿圏の介護保険施設に併設されている居宅介護支援事業所ならびに地域包括支援センターを利用している要介護高齢者を15名を対象とした.なお認知症患者は対象から除外した.対象被験者から採取した唾液サンプルを用い,16S rRNA解析を行った.これにより得られた細菌叢のデータを,歯科および栄養疫学調査により得られたデータと統合し,統計学的分析を行った.歯科および栄養疫学調査には,口腔機能検査(味覚・口腔感覚,咀嚼能率,咬合力,咀嚼時唾液分泌速度,嚥下機能評価)および食品・栄養摂取と身体計測,血液検査,全身疾患および服用中薬剤の聴取,認知機能検査などが含まれた. 一般に,フィールド調査に参加可能で協力的な要介護高齢者を対象被験者として集めることは難しい.本研究では,研究協力者の1人である管理栄養士が,上記施設を利用する要介護高齢者およびそれらの職員と良好な信頼関係を築いており,被験者の確保が可能であった.さらに,栄養疫学調査については,この分野の第一人者である佐々木敏教授と研究チームの管理栄養士の協力を得ることができた. 統計学的分析には,歯科および栄養疫学調査の各項目と口腔の細菌叢との2変量間の関連,次いで多変量解析を用い,多数の口腔機能および食品・栄養摂取と身体計測,血液検査,全身状態の中から,口腔細菌叢のパラメータに有意な関連を持つ項目を抽出した.その結果、代謝性疾患を有する群はそうでない群に比べ、口腔細菌叢に占めるVeillonella属が優勢であり、Neisseria属,Haemophilus属が劣勢であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年1月、当初の予想に反し、分類学上の門レベルではなく、属レベルにおいて、糖尿病罹患群で口腔細菌叢に占めるVeillonella属が優勢であり、Neisseria属、Haemophilus属が劣勢であることが明らかとなった。研究遂行上、この現象の本質を見極めることが不可欠であることから、研究方式を見直し、多様性解析を用いた菌叢構造の解析を行う必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
調査対象や方法についての打合せ、対象施設の事前調査、細菌叢解析法(FISH法)の検討を行った後、要介護高齢者施設での調査およびメタゲノム解析を終え、メタゲノム解析データの分析を完了する。
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