研究課題/領域番号 |
26893149
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山本 光 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 講師 (70737337)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 脂質結合蛋白質 / トランスサイトーシス / PI3キナーゼ / 細胞膜 |
研究実績の概要 |
トランスサイトーシスは、上皮細胞から構成される管腔組織においてイムノグロブリンや消化酵素などのタンパク質を極性輸送する過程であり、個体の恒常性維持と免疫作用において必須の生命現象である。本研究では、イノシトールリン脂質結合タンパク質であるSH3YL1に着目し、PI3キナーゼを介したトランスサイトーシスの分子機構を明らかにすることを目的とし、以下の検討を行った。 (1)SH3YL1と相互作用するタンパク質の探索:ヒト結腸癌由来のCaco-2細胞、ヒト乳腺癌由来のMCF-7細胞、イヌ腎臓尿細管上皮由来のMDCK細胞にSH3YL1のN、C末端にSBP(Streptavidin Binding Peptide)および、FLAGタグを付加したベクターを導入し、安定発現細胞株を作製した。今後これらの細胞を用いてTAP(Tandem Affinity Purification)法により、相互作用するタンパク質を探索する予定である。 (2)トランスサイトーシスによるIgGの取り込み、排出機構におけるSH3YL1の関与:Caco-2細胞においてRNA干渉法によりSH3YL1を効率よくノックダウンできることを確認した。今後、SH3YL1をノックダウンした細胞とそうでない細胞を用いて、①IgGの細胞への取り込み、排出量の測定、②取り込まれたIgGとSH3YL1の細胞内局在をそれぞれ比較検討していく予定である。 (3)SH3YL1の脂質結合部位の同定:当初計画には含まれていなかったが、SH3YL1の活性化機構を明らかにするため、脂質と結合できないSH3YL1の変異体の探索を行い、野生型に比べ脂質結合能が低い変異体が見つかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画の項目を遂行したが、IgGの細胞取り込み評価系の構築を次年度に繰り越したため。一方、計画にはなかったがSH3YL1の脂質結合部位の同定が思いのほか進み一定の成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り研究を遂行していく。また、SH3YL1の脂質結合部位の同定が思いのほか進んだため、得られた変異体を基に、細胞内局在を調べていく予定である。
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