研究課題
歯科ボンディング材は、含有される機能性モノマーによって、接着強さと耐久性が異なることが知られている。応募者は、接着耐久性が良いとされている10-MDPであっても合成されるメーカーによって接着強さ、耐久性に差があることを認めた。これまでに同じモノマーでの接着力や耐久性の差に関する報告はなく、その要因はわかっていない。本研究では、異なる合成方法で作製された10-MDPの純度、安定性、ハイドロキシアパタイトとの化学反応性を解析し、さらに接着強さ測定とナノレベルでの接着界面の観察を行うことにより、モノマーの合成方法、純度が接着強さ、耐久性に影響を及ぼすメカニズムの解明を行った。本研究では、3つの異なるメーカーの10-MDPを用い、NMR、FTIRを用いて、その組成を調べた。NMR,FTIRでの分析から、メーカーにより、10-MDPにダイマーや不純物が認められるものもあった。さらに、それぞれの10-MDPを用いてプライマーを作製し、象牙質との接着強さを検討したところ、それら不純物などが含まれるものは、接着強度、耐久性が劣ることもわかった。また、透過電子顕微鏡での界面の観察から不純物を含むものは、象牙質界面の脱灰性や10-MDPとアパタイトが反応して形成される10-MDP-カルシウム塩の形成が少ないこともわかった。また、不純物の存在するものは、アパタイトや象牙質との耐久性も劣ることがわかった。これらから、機能性モノマーの純度が、ハイドロキシアパタイトとの化学反応性、接着強さ、耐久性に影響を及ぼすことがわかった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件)
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