HDM2は,インテグリンβ8のEGF-like repeat domainに結合することで,インテグリンβ8のユビキチン化を制御するユビキチンリガーゼであることが明らかになった.口腔扁平上皮癌細胞においてHDM2阻害剤はインテグリンβ8蛋白発現を亢進させた.さらに,HDM2発現亢進は口腔扁平上皮癌細胞の運動能を促進させた.これらの結果より,HDM2がユビキチン/プロテアソーム系によるインテグリンβ8の蛋白分解を厳密に調節し,口腔癌の浸潤・転移の制御に関与している可能性が示唆された.したがって,HDM2を標的とした分子標的治療薬が,口腔扁平上皮癌の新しい治療法になり得る可能性が期待される.
|