本研究の目的は、人工呼吸器離脱プロトコールを用いて看護師が主体的にウイニングを実施する効果を明らかにすることである。研究方法は、前向き前後比較研究であり、介入は人工呼吸器に関連する3学会が合同で策定した人工呼吸器離脱プロトコールの導入である。介入の効果は、患者関連指標と、看護師による呼吸ケアスキル関連指標を評価するものである。 本年度は、研究協力の同意を得られた施設から、人工呼吸器離脱プロトコール導入前の患者関連指標(換気量、気道内圧、酸素濃度等の呼吸生理学データ、人工呼吸器装着期間、気管挿管日数、集中治療室滞在日数、再挿管の有無等)と看護師の呼吸ケアスキル(呼吸ケアの観察視点、呼吸ケア技術、チーム医療)の調査を実施した。導入前調査が終了した施設から、人工呼吸器離脱プロトコール導入教育期間を1か月設け、看護師に人工呼吸器離脱について教育を行った。その後、教育が終わった施設から、人工呼吸器離脱プロトコール導入後の患者関連指標と看護師の呼吸ケアスキルの調査を実施した。 分析の結果、患者関連指標では、集中治療室滞在日数(導入前8.83±3.79日、導入後5.67±2.63日)、人工呼吸器装着期間日数(導入前5.11±1.77日、導入後3.89±1.45日)、気管挿管日数(導入前5.06±1.83日、導入後3.89±1.45日)が導入前に比べ導入後のほうが短縮されていた。看護師の呼吸ケアスキルでは、呼吸リハビリの実施(導入前2.73±0.88点、導入後3.55±1.05点)、人工呼吸器を装着した患者に関わる医療チーム間での情報共有(導入前3.29±1.0点、導入後4.05±0.72点)が導入前に比べ導入後の実践回数が増えていた。
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