研究課題/領域番号 |
26893180
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
日坂 ゆかり 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (30730593)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 脳卒中 / 急性期 / リハビリテーション看護 / 心理・情動の変化 / 経験 / 高次脳機能障害 / 前向き研究 / 参加観察 |
研究実績の概要 |
日本国の脳卒中総患者数は約134万人おり、介護保険制度の要介護者の中の約24%を占め、寝たきり患者の約4割が脳卒中後遺症によるとされている。近年、脳卒中による死亡率は減少してきたものの、障害による日常生活の制限を最小限できるかが重要であり社会的課題となっている。 脳卒中患者に発症早期から離床しリハビリテーションを行うことは、廃用症候群を予防し、日常生活動作の向上と社会復帰を図ることができることは明らかとなっている。早期リハビリテーションを行うためには、発症直後から脳卒中患者が、どのような経験をし、その心理・情動の変化を医療者が理解して支援することが重要である。しかし、多くの脳卒中患者は、意識障害や高次脳機能障害により、自身の気持ちを訴えることが出来ない。 そこで本研究では、重篤な障害を持つ急性期脳卒中患者がどのような経験をしているのか理解し、その心理や情動の変化に影響している要因を明らかにし、効果的な看護支援を開発することである。 本研究では、自身の経験を十分に語ることの出来ない重篤な障害を持つ患者に対して、振り返って自身の体験を語る後ろ向き調査だけでなく、発症24時間以内から申請者が看護師としてケアを行ないながら、患者の言動や表情、その時の出来事を時系列に系統的に前向きに参加観察でデータ収集を行う。結果として発症まもない重篤な脳卒中患者の経験が理解でき、心理や情動の変化に影響を及ぼした要因を抽出し、概念枠組みを作成することができる。更にその分析結果をより精錬することで、どのような看護支援が効果的か明らかにでき、脳卒中患者が日常生活の自立に向けて意欲的に取り組み社会復帰に向けての看護支援が開発できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、対象となる脳卒中患2名に対して、参加観察・半構成面接・診療録から患者の経験に関連するデータ収集を行なった。その得られたデータを基に、心理や情動の変化に着目しながら系統的に時系列に患者の体験のストーリーを再構成に取り組んでいるため、おおむね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、引き続き症例ごとのデータ収集と分析を重ねると同時に、患者の経験や心理、情動の変化に影響した要因について、抽出された文脈を類似するもので重要な内容ごとにカテゴリー化し、発症まもない重篤な障害を持つ脳卒中患者の体験や変化に影響を及ぼした要因の概念枠組みを作成する。それらの内容を国際・国内学会で発表する予定である。更に、それらの結果を基に、患者を支える看護方法を精錬し、より効果的な看護支援を開発に取り組む予定である。
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