前年度までにマウス好中球系統特異的前駆細胞(NeuP)をFACSを用いて純化する技術を確立した。顆粒球・単球系前駆細胞(granulocyte/macrophage progenitor)をNeuPを含む3つの亜分画に分離し、純化した各分画の網羅的遺伝子解析を行い、遺伝子発現パターンの比較を行った。VCAM-1陰性GMPよりNeuPへと分化が進むに従い、その発現がup-regulateされる遺伝子が202個、down-regulateされる遺伝子が123個、同定された。その中にはGfi1やGIrf8、Klf4など顆粒球・単球系細胞分化に関与すると報告のある転写因子が含まれており妥当性が示唆された。 いくつかの遺伝子に関してはqPCRでその変化を再確認した。Gfi-1やG-CSF受容体の発現は、分化に従い約2倍程度に発現が亢進している一方で、単球系転写因子であるIrf8/Klf4の発現レベルは著明に抑制していた。これらの転写因子の動的変化が、好中球系へのコミットメントに重要な役割を担っていることが想定される。
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