研究課題
本研究の目的は、てんかん発射が、精神遅滞・注意欠如/多動性障害、自閉症スペクトラム症等の発達障害の認知障害に関与する生理学的なメカニズムを、脳波と近赤外線スペクトロスコピーの同時測定を用いて検証することである。平成26年度には、①患者プロフィールの収集、②脳波・近赤外線スペクトロスコピー同時計測技術の確立、③てんかん発射に伴う脳血流変化を明らかにした。この成果をもとに、平成27年度は、特定のてんかん症候群別で、そのパターンに共通点があるか、または相違点があるかについて詳細に検討した。中心側頭部に突発波を持つ小児てんかんと若年性ミオクロニーてんかん共に、てんかん発射に伴って、酸素化・総ヘモグロビンが増加し、脱酸素化ヘモグロビンが減少することが共通していた。また、中心側頭部に突発波を持つ小児てんかんでは側頭部での変化が大きいのに対して、若年性ミオクロニーてんかんでは前頭部での変化が大きい様子が観察された。これは、それぞれのてんかんに特徴的にみられる、てんかん発射が優位に分布する脳局在的な差異を反映しているものと考えられた。精神遅滞、注意欠如/多動性障害、自閉症スペクトラム症など発達障害については、明らかな診断基準を満たす患者を、研究期間内にリクルートことができなかった。そのため、てんかん発射・脳血流変化パターンと認知機能スコアの相関について解析するまでには至らず、てんかん発射と発達障害の関連を脳血流変化との関係で明らかにすることはできなかった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Sci Rep.
巻: 6 ページ: 22991
10.1038/srep22991