研究課題/領域番号 |
26893196
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 麗 九州大学, 歯学研究院, 研究員 (50734993)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | Sprouty2 / periodontal ligament / proliferation / migration / periodontal regeneration |
研究実績の概要 |
理想的な歯周病の治療法として、歯肉上皮・骨組織・歯根膜組織それぞれの機能をバランスよく調整し、広く適応できる理想的な歯周組織再生法の確立が期待されている。一方、申請者はSpry2分子を抑制することで、歯根膜の遊走亢進・歯肉上皮のダウングロースの防止・強力な骨造成の可能性を見出している。特に、歯根膜細胞の選択的遊走と増殖は歯周組織再生に必須の要因とされる。本研究の目的は、Spry2抑制による歯根膜細胞の遊走能亢進の機序をシグナル経路の観点から深く追求し、そのメカニズムを明らかにすると共に、最も効果的でかつ安全性の高いSpry2阻害法を開発することである。最終的に、歯周組織破壊が起きた部位に、Spry2阻害剤を局所適用することで、歯周組織再生の起点となる歯根膜の遊走が誘導される新しい歯周組織再生治療法を開発し、その有用性を確立したいと考えている。 Spry2を抑制しbFGF+EGF刺激を行うことで、骨芽細胞ではERKの活性、細胞増殖が亢進するとともに、骨分化も同時に促進されていた。しかし、反対に歯肉上皮細胞では、ERKの活性、細胞増殖が低下していることが確認された。歯根膜細胞においては、細胞増殖、遊走が亢進したが骨分化は抑制されることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物実験がやや遅れているものの、本年度は培養細胞を中心に細胞機能の解明に前進したと考えられ、上記の様に区分した。
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今後の研究の推進方策 |
以下の研究を推進する予定である。 1.Spry2抑制による歯根膜細胞の機能解析およびシグナル伝達経路の解明 2.アデノ随伴ウイルスによるSpry2 shRNAローカルデリバリー遺伝子治療の検証 引き続き、Spry2抑制による歯根膜細胞の遊走亢進機序を解明する。そして、本研究の目的である臨床応用の実現のために、AAV-sh-Spry2ローカルデリバリー遺伝子導入の局所投与を実験動物の歯周炎部位へ行い、Spry2抑制における検証を測定する。同時に副作用による異常所見や周囲組織の癌化の有無等を経時的に観察する。また、多方面からの検討として、Spry2KOマウスより歯根膜細胞を採取し、同時に確認する。
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