研究課題/領域番号 |
26893198
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
古賀 智裕 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (90537284)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 関節リウマチ |
研究実績の概要 |
1)関節リウマチ(RA)の発症およびRAの進展と、患者T細胞中のCaMK4活性化との関連 書面による同意が得られたRA患者および健常者から採取した全血から分離キットを用いてCD4+T細胞を単離し、RNA抽出後のquantitative PCR(qPCR)およびフローサイトメトリーにてCaMK4の発現を観察した。健常人と比較して、CaMK4のmRNA発現は有意に高い結果であり、CaMK4の発現とRAの病態との関連が示唆された。疾患活動性との相関に関しては現在解析中である。 2)RA患者T細胞分化・機能およびRA患者滑膜線維芽細胞の増殖におけるCaMK4の意義 RA患者由来のmemory CD4+T細胞におけるThサブセットの解析を目的に、フローサイトメトリーを用いて表面マーカーを測定した。Th1をCXCR3+、CCR6-、Th2をCXCR3-、CCR6-、Th17をCXCR3-、CCR6+と定義しRA患者と健常人との比較を行った。健常人と比較してメモリーT細胞のTh17分画、Th1分画の上昇が認められ、メモリーT細胞のサブセットの異常がRAの病態に関与していることが示唆された。RA患者滑膜線維芽細胞に関してはCaMK阻害剤(KN-93)を用いたin vitroの実験を進行中である。 また、次年度の動物実験に向けて、長崎大学医学部動物実験センターの講習は受講済みであり、研究のプロトコールはDNA組み換え実験、動物実験に関する倫理委員会により承認済みであり、いつでも動物実験の開始ができる準備ができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
解析可能なRA患者のリクルートとRA患者由来の滑膜線維芽細胞の供給が当初の想定よりも少ないことが原因として考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
RA患者を対象とした臨床データの相関および、in vitroの実験により滑膜線維芽細胞やT細胞におけるCaMK4の役割を明らかにする。 また、当初予定のとおり、RA動物モデルでの検証を行っていく方針である。具体的には、動物モデルとして、関節炎の疾患モデルであるII型コラーゲン免疫により誘導されるCIAモデル、関節炎惹起用モノクロナール抗体カクテルを用いた抗タイプIIコラーゲン抗体で誘導されるCAIAモデルマウスの両者を用いる。これらのマウスにCIAもしくはCAIAを誘導し、野生型(WT)マウスおよびKOマウスにおける関節炎スコア(臨床的な評価)、関節組織スコア(病理学的評価)、および脾臓から単離したT細胞の分化(Th17、Treg等)プロファイル(免疫学的評価)を比較することでCaMK4がin vivo における関節炎に与える影響について解析する。 臨床的な治療応用への検討を行うため上記検討に加え、関節炎誘導マウスにおけるCaMK4阻害剤の投与による関節炎の抑制効果の検討を行う。CaMK4阻害剤として現在利用可能なKN-93を週2回(0.24mg/mouse/week)投与し、①と同様の評価項目(臨床的評価、病理学的評価、免疫学的評価)および安全性(末梢血中の赤血球数・白血球の評価、血清を用いた肝機能、腎機能の評価) を行い、治療応用への可能性について検討する。
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