研究課題
レニン・アンジオテンシン系は、循環器・腎臓疾患の発症や進展において重要な役割を果たしている。しかしながら、組織中のアンジオテンシンII(Ang II)生成機構に関しては未だに不明な点が多い。ビッグアンジオテンシン-25(Bang-25)はヒト尿中に存在する主要なアンジオテンシン関連ペプチドであり、組織Ang II 生成機構に関与している可能性が高いと考えられる。そこで本研究は、組織Ang II生成におけるBang-25の役割を解明し、将来的な循環器・腎臓疾患における診断薬・治療薬の開発を目指す事を目的とした。昨年度確立したBang-25の測定系を利用し、血液、組織抽出液と様々な疾患の尿中Bang-25を測定した。その結果、尿中のBang-25が血中よりも数十倍多い事が明らかとなり、胎盤組織抽出液からもBang-25が多量に検出された。次に腎臓疾患患者と糖尿病患者の尿中Bang-25を測定した結果、糸球体濾過量と負の相関が見られたが、尿タンパクとは相関していなかった。また、糖尿病患者の尿中Bang-25が健常コントロールよりも高い事が分かった。つまり、尿中Bang-25は腎疾患における腎障害の程度を反映していると考えられた。加えてBang-25の生成・変換機構を明らかにするためにアンジオテンシノーゲン(Aogen)の14番目に結合する糖鎖の構造解析を行った。その結果、Aogenの14番目の糖鎖は少なくとも3種類、存在する事が明らかとなり、そのうちの1つはBang-25と同じであった。またBang-25はレニンによるAng I生成に抵抗性を示すがAogenは14番目の糖鎖が欠損しているとレニンによってAng Iを生成する事ができないという報告がある事から、14番目の糖鎖の種類によってAogenからBang-25もしくはAng Iなど生成されるアンジオテンシン関連ペプチドの種類が変化する可能性が示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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