研究課題
本研究の目的は、心臓老化の原因を検討し、治療ターゲットを明らかにすることである。ミトコンドリアは絶えず細胞環境に応じてFissionとFusionを繰り返して形態を変化させるミトコンドリアダイナミクスを有することに着目し、ミトコンドリア形態が加齢とともに変化し、オートファジーによるミトコンドリアの質管理を抑制し、老化ミトコンドリアの蓄積からその機能低下を惹起し、結果心臓の老化を来しているのではないかという仮説を立証する。正常マウス(C57BL6)では、老化に伴い心機能は低下し、ミトコンドリア機能は低下し、ミトコンドリアはFusionに傾いていた。電子顕微鏡による検討で、ミトコンドリアを内包したオートファゴソーム・オートライソゾーム数が加齢とともに減少していた。次にミトコンドリアのFissionに必須であるDrp1を心筋特異的にノックアウトしたマウス(Drp1-CKO)を作成して検討を行った。Drp1-CKOでは、ミトコンドリアはFusionに傾いていた。Drp1-CKOはコントロールマウスと比較し老化の進行が確認された。さらにミトコンドリア機能は低下し、異常ミトコンドリアが蓄積していた。以上から、加齢に伴うミトコンドリアのFusion化が、心臓老化を来している可能性が示唆された。最後に、培養心筋細胞を用いて検討を行った。ミトコンドリアのオートファジーに伴う排除機構を調べるために、ミトコンドリア特異的にKeima蛍光を発光する実験系を用いた。Keimaは中性と酸性の環境下で励起波長を変化させる特徴を持つ。それ故Keimaの励起波長の変化をとらえることでミトコンドリアがオートファジーにより処理されているか否かを評価することが可能である。この実験系では、Drp1をノックダウンした培養心筋においてオートファジーによるミトコンドリアの処理が低下していることが確認された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Circulation
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