研究課題
アレルギー性鼻炎の罹患率は近年増加の一途を辿っており、その予防・治療法の開発は解決すべき喫緊の課題である。アレルギー性鼻炎に代表されるアレルギー疾患では 2 型ヘルパー T (Th2) 細胞が病態形成に関与するとされるが、抗原特異的 IgE の産生機構の本体など未だ不明な点が多く残されている。近年、液性免疫を制御するヘルパー T 細胞サブセットの 1 つである濾胞ヘルパー T (Tfh) 細胞と免疫調節機能をもつ B 細胞サブセットである制御性 B (Breg) 細胞の異常がアレルギー疾患の発症に関与しているという報告が散見され、Tfh 細胞と Breg 細胞の不均衡がアレルギー疾患の病態形成の原因となっていることが推察される。そこで今回我々は、これら2つの細胞群に焦点を当て、鼻粘膜のアレルギー炎症の発症や増悪因子としての役割について検討した。健常者群 (24 例)、アレルギー性鼻炎単独 (AR) 群 (23 例)、気管支喘息合併アレルギー性鼻炎 (AR + Asthma) 群 (19 例) の末梢血リンパ球中の Tfh 細胞サブセット (Tfh1, Tfh2, Tfh17細胞) とBreg 細胞の割合をフローサイトメーターで解析したところ、AR 群と AR + Asthma 群で健常者群と比較して全 Tfh 細胞に占める Tfh2 細胞の割合が増加していた。一方、Breg 細胞の全 B 細胞に占める割合は AR 群と AR + Asthma 群で健常者群と比較して減少しており、さらに AR + Asthma 群では AR 群よりも有意に Breg 細胞の割合が減少していた。今回の結果から、Tfh2/Breg バランスの破綻がアレルギー性鼻炎の発症、重症化にとって重要であると考えられた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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