平成27年度は、前年度に作成・投稿した本研究の理論的基盤となる文献検討論文が掲載された。前年度の文献検討と前段階の調査結果から、当初の調査内容を一部変更した研究計画とした。幼児後期は治療の制限がなくなり、就学に向けて心理社会的発達を促進する重要な時期であることから、外来における母親への育児支援と患児の発達支援が必要となる。本研究では、治療が終了する幼児後期に焦点をあて、治療終了後の患児の発達的特性と専門治療施設で相談する機会が減少した後に母親が抱える養育上のストレスについて、親と子どもの両側面の要因との関連に着目し、具体的な支援の方向性を検討することとした。1) 網膜芽細胞腫の治療を終えた幼児後期の患児の発達特性、2)治療終了後に母親が抱える育児上の困難の実態を明らかにし、病院と地域が連携した幼児後期における患児と家族の看護への示唆を得ることを目的とした調査を開始した。家族会の協力を得て、4歳から6歳時期に経過観察中の患児の親を対象とした前向き縦断調査を進めている。全国各地で生活する対象者から協力を得ているが、稀少疾患かつ病院の受診頻度が減少する時期の調査であることから、対象者を得るのに時間を要しており、統計学的解析に必要な例数に満たない。倫理審査委員会へ次年度に調査期間を延長して新規リクルートを継続する研究計画の変更申請を行い、承認を得て縦断調査を継続することとした。このため、得られたデータから分析を随時実施しながら、併行して文献検討を行い、論文作成の準備を進めている。
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